「命の器」より
一部抜粋引用、2ヶ所。こんなタイミングでこんな言葉たちと出会えるとは。ご縁だなぁ、有難い。心に響いたので備忘録へ残す。
『じつに不思議なことだと思う。”類は友を呼ぶ”ということわざが含んでいるものより、もっと奥深い法則が、人と人との出会いをつくりだしているとしか思えない。
~中略~
抗っても抗っても、自分という人間の核を成すものを共有している人間としか結びついていかない。その恐さ、その不思議さ。私は最近、やっとこの人間世界に存在する数ある法則の中のひとつに気づいた。「出会い」とは、決して偶然ではないのだ。でなければどうして、「出会い」が、ひとりの人間の転機と成り得よう。
~中略~
どんな人と出会うかは、その人の命の器次第なのだ。』
宮本 輝/新装版 命の器(講談社)より 「命の器」pp. 59-61
『作中、氏はこんな言葉を主人公に語らせている。
(死ぬことはこの世から消えてなくなることではなく、その人間が生きていたという事実を証明するものなのだ、死は人間の一生にしめ括りをつけ、その生涯を完成させるものだ、消滅ではなく完成だ)』
宮本 輝/新装版 命の器(講談社)より 「成長しつづけた作家」p. 156
※ 氏 = 山本周五郎, 作 = 虚空遍歴